ティンカーベルの夢


 名倉友梨は、中学校の階段から落ち、気がつくと不思議な五つの扉の前にいた。
 空のない、果てもない、でたらめな世界。これは夢だ、と自覚しながら扉の中へと進んだ友梨は、そこで謎めいた美しい少年に出会う。
 彼は言う。人手が足りない、僕を手伝って欲しい――と。
 少年の魅力に惹かれた友梨は、訳もわからぬままに思わずその願いを受け入れてしまう。

 主役のような存在感を持つ少年に導かれながら、友梨が連想したのはピーターパンの物語だった。
 それに呼応するように、少年は自ら「ピーター」と名乗る。
 夢の中の少年に名が与えられたことで、世界はさらに広がっていく――

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